こんにちは。大賀信幸です。すべては観察から始まる。
知財の中で商標を解説します。ビジネスに応用できればと日々考えています。今回は埼玉県です。
知財 商標 マーケティング ブランディング 名産品 埼玉県
僕ら大阪住みとすれば埼玉県と言えば所沢。同時に西武球場が有名です。
埼玉県の名産品を調べてみました。商標も調べてみました。調べるのはいつもここ、このサイトです。
- 十万石まんじゅう
- 草加せんべい
- 採果の宝石
- 五家宝
- 福蔵
- いも恋
- プリン
- 亀どら
1.十万石まんじゅう
製造販売は株式会社十万石ふくさやです。埼玉県では広告も流されているようです。中にあんこが入った和菓子です。埼玉県の人は誰でも知っているようですね。
残念なことに会社名と商品名である十万石まんじゅうの商標は登録されていませんでした。商標出願もされていませんでした。
よくある地名+商品名では地域ブランドの保護の方針にも当てはまっていません。十万石まんじゅうは地域ブランドではないですし、完全なオリジナル商品です。
会社概要
- 社名 株式会社十万石ふくさや
- 代表取締役 横田康介
- 本社所在地 埼玉県行田市行田5−10
- 直営店 37店舗
- 職 種 和菓子・洋菓子の製造販売
- 社員数 約300名
- 資本金 4000万円
沿革
- 昭和27年 屋号福茶屋で開店 十万石まんじゅうを主力商品として販売開始
- 昭和35年 資本金400万円で株式会社十万石ふくさやを設立
- 昭和55年 十万石まんじゅうでテレビ広告開始
- 平成6年 資本金4000万円に増資
- 平成30年 十万石まんじゅうが日本ギフト大正2018 埼玉賞を受賞
- 平成31年 大ヒット映画翔んで埼玉とのコラボレーション、翔んで埼玉焼印入り十万石まんじゅうを販売
- 令和元年 サッカー浦和レッズとのコラボレーション 焼印入り十万石まんじゅうまんじゅうを販売開始
- 令和2年 プロ野球埼玉西部ライオンズとのコラボレーション、焼印入り十万石まんじゅうを販売開始
で、どうなるの
会社名も商品名も商標登録されていません。このままでしたら例えば誰かが今日商標出願する。おそらく1年後には商標登録になります。商標早期審査制度もあります。早期審査をすれば1年も商標登録するのに期間はかかりません。
この会社の沿革をみると昭和27年から十万石まんじゅうを販売されている老舗です。昭和の時代からはテレビ広告もされています。浦和レッズや西武ライオンズとのコラボレーションもされています。ブランド価値を高める意識を持たれている企業です。
誰かがこの会社の重要な商品である十万石まんじゅうを商標登録すると同じ名前でビジネスをすることができます。同じようなまんじゅうをつくり店舗販売も出来ます。
今どきですからわざわざ埼玉県でお店を持つ必要もなく、ネット販売すれば多くの消費者は本家十万石まんじゅうとの差異がわからないから間違えて購入することになります。
法律上は間違いでも何でもなく、十万石まんじゅうで商標登録した誰かが権利者になります。相当困ったことになる可能性があります。
まだ、この会社名十万石ふくさやでの商標登録していれば、本家と誰か新たに十万石まんじゅうで商標登録した人の差異を主張できます。製造販売している処と商標登録している処が違うと差異を訴えることもできます。
しかし現時点では、会社名十万石ふくさやも商品名十万石まんじゅうでも商標登録されていません。危ない話です。一歩間違えば昭和27年創業から積み上げてきた信用やブランドが消滅する可能性もあります。
で、どうしたの
僕ならすぐに会社名と商品名で商標出願します。早期審査制度を利用して一刻も早くこれら知財の権利者になります。会社を調べるとあくまで沿革を読む限り創業からの同族経営っぽい会社ですのでこれらの知財の権利者はこの会社であるべきでしょう。
沿革を読むと浦和レッズや西武ライオンズとの協業商品もあるようなので、同時にこれらの商標も登録しておくべきでしょう。
で、どうするの
会社を設立したらまずは会社名で商標出願するのが善手です。次に販売する商品ですが、その商品が他の商品との差異があるから商品に成り得ているとするなら、その商品名で商標登録するべきでしょう。
例えばラーメン屋さんとかうどん屋さんとか。その商品であるラーメンに名前がない場合は提供するラーメン屋さんの屋号で商標登録するのが善手でしょう。例えば天一のラーメンとか。丸源ラーメンとか。その提供するラーメン屋さんの屋号がすでにブランドになっいる例です。
大阪では例えばうどん屋さんで美々卯というのがあります。商品であるうどんすきで商標登録されています。
まとめ
今回は埼玉県での名産品を調べました。相当危険な感じがしました。何が危険かって、それはたまたま偶然今まで誰もがこの十万石まんじゅうの商標を主張してこなかった幸運です。この幸運の上に十万石まんじゅうが成り立っているように思います。
今回は詳細を記載しませんでしたが、草加せんべいは事業組合が商標を持っていました。これは僕が調べた処全国的にこのビジネススキームと言いますか事業する上での定番になっているような印象を受けました。
事業組合が商標を得る。その商標を事業組合の組合員が使う。応用したいものですね。
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