こんにちは。大賀信幸です。すべては観察から始まる。
知財の中で商標を解説します。ビジネスに応用できればと日々考えています。今回は岐阜県です。
知財 商標 マーケティング ブランディング 名産品 岐阜県
岐阜には友人がいてよく行きました。大阪住みの僕からしたら名古屋の手前で三重県の向こうな感じがする岐阜です。新幹線こだまが岐阜羽島に停まります。
先の長野県のブログで、地域ブランドの保護は地域団体商標制度というのをご紹介しました。今回は岐阜県を例に、この制度の具体をビジネスになりえるか否かを検証してみます。
で、どうなるの
岐阜県といえば、下呂温泉。僕でも知っているぐらいですから全国的にも有名なのでしょう。さっそく特許庁の地域団体商標制度のページで調べてみました。
ありました、商標登録第5089421号 下呂温泉(げろおんせん)と記載されていました。これはビジネスには使えると感じました。
なぜなら、例えば楽天トラベルで下呂温泉という名前で検索は誰でもできますが、それにヒットさせるようにホテルや旅館業の名前にはこの下呂温泉は使えなくなりますからね。
試しに下呂温泉を検索してみます。検索サイトは楽天トラベルです。
ありました。ホテル名や旅館名の前に下呂温泉と明記されています。
例えば、
- 下呂温泉 山形屋
- 下呂温泉 温泉ビジネスホテル富喜屋
- 下呂温泉 ゆらぎ屋 ひだ山荘
全部で70件もの旅館、ホテルが出てきました。十分に下呂温泉の団体商標制度で商標を取得してもビジネスになり得ますね。なぜなら、楽天トラベルというどちらかというと今ではインフラになっているサイトで、この下呂温泉という商標が使われている訳ですから。他の温泉との区別化が出来ています。
で、どうしたの
岐阜県で地域団体商標制度を利用した商標一覧を記載します。
- 商標登録第5006764号 飛騨一位一刀彫(ひだいちいいっとうぼり)
- 商標登録第5007749号 岐阜提灯(ぎふちょうちん)
- 商標登録第5008375号 飛騨牛乳(ひだぎゅうにゅう)
- 商標登録第5008729号 山岡細寒天(やまおかほそかんてん)
- 商標登録第5010201号 下呂温泉(げろおんせん)
- 商標登録第5016534号 飛騨ヨーグルト(ひだよーぐると)
- 商標登録第5027724号 美濃焼(みのやき)
- 商標登録第5028876号 飛騨高原牛乳(ひだこうげんぎゅうにゅう)
- 商標登録第5030584号 飛騨春慶(ひだしゅんけい)
- 商標登録第5043389号 飛騨アイスクリーム(ひだあいすくりーむ)
- 商標登録第5056350号 飛騨牛(ひだぎゅう)
- 商標登録第5064168号 郡上鮎(ぐじょうあゆ)
- 商標登録第5087585号 飛騨のさるぼぼ(ひだのさるぼぼ)
- 商標登録第5089421号 下呂温泉(げろおんせん)
- 商標登録第5090533号 美濃焼(みのやき)
- 商標登録第5097114号 みずなみ焼(みずなみやき)
- 商標登録第5103618号 飛騨の家具(ひだのかぐ)
- 商標登録第5103619号 飛騨・高山の家具(ひだ・たかやまのかぐ)
- 商標登録第5120437号 美濃白川茶(みのしらかわちゃ)
- 商標登録第5150803号 関の刃物(せきのはもの)
- 商標登録第5161539号 飛騨の酒(ひだのさけ)
- 商標登録第5174409号 長良川温泉(ながらがわおんせん)
- 商標登録第5220027号 美濃和紙(みのわし)
- 商標登録第5229376号 飛騨ほうれんそう(ひだほうれんそう)
- 商標登録第5229377号 飛騨トマト(ひだとまと)
- 商標登録第5299888号 東濃桧(とうのうひのき)
- 商標登録第5381834号 奥美濃カレー(おくみのかれー)
- 商標登録第5505346号 ひるがの高原だいこん(ひるがのこうげんだいこん)
- 商標登録第5777015号 和良鮎(わらあゆ)
- 商標登録第6190590号 中津川栗きんとん(なかつがわくりきんとん)
- 商標登録第6269161号 大垣の木枡(おおがきのきます)
- 商標登録第6269162号 大垣の枡(おおがきのます)
商標登録第5056350号 飛騨牛(ひだぎゅう)は地域団体商標制度を利用して商標登録する価値があると感じます。理由は僕でも知っているから。飛騨牛はブランドです。
しかし、誰も知らないであろう商標を登録してもビジネスにはなり得ないと思います。今から有名にしてビジネスにするという気骨があるのは理解できます。とするなら、地域団体商標制度を利用せずに普通の商標で十分ではないかと思うのです。
で、どうするの
それぞれの地域である程度有名であろう名称を調べて、その名称で、地域団体商標制度を利用して商標登録する。そしてその商標の権利者である事業組合と、この事業組合の組合員が共にその名称をブランド化することにより、相乗効果でより他の名称との区別化ができるのではないかと思うのです。
例えば組合員から組合費として毎月の会費を募る。その会費を合計すると相当な金額になる可能性がある。そしてその会費の一部で、ネットをはじめ、テレビ、ラジオなどに広報活動を行う。俗にいう広告費です。広告費を出す側は全額経費になりますので出し易い。
そして広告効果があったと認識できれば、毎月の会費での広報活動とは別に、別途に広告費を徴収して再度広報活動を行う。この部分は、資産運用でいう処の複利効果的に利益は明日への再投資をするのが善手のように思います。利益が出ればその一部を広告費として再投資する。これを繰り返す感じです。
まとめ
地域団体商標制度を検証してみました。十分に使えると思いました。しかし無名の商標で地域団体商標制度を使うのは何だか徒労のように感じました。今は無名のブランドであれば、地域団体商標制度を使わずに普通の商標登録で十分ではないのかなぁと思いました。
内部リンク 全国47都道府県名産品