知財の視点からみる御朱印帳

知財で事業を創る。

知財事業研究所の弁理士の山本英彦です。

【御朱印帳。スタンプラリーやね。今のスタンプラリーより手が込んでいる。料金も全国統一。ビジネスマンよりビジネス知ってる】のブログを受けて。

御朱印帳って、権威のあるスタンプラリーなんですね。
言われてみればという感じです。

御朱印帳とは、神社仏閣にお参りして、
その神社仏閣の独自の朱印を押してもらう帳面です。

神社仏閣にいくと、御朱印と書いている窓口あり、
神社仏閣の名前と日時を書いて御朱印を押してくれます。
あらかじめ決められた神社仏閣を廻り(例えば、西国三十三カ所)、
御朱印を集めると御朱印帳が完成する(いっぱいになる)という仕組みです。

御朱印を押してもらうのに、
少しのお金(お布施?)を支払うのが通例です。
普通のスタンプラリーだと、無料で押して回るのが普通だと思います。
しかし、そこは、神社仏閣の権威や、御朱印帳を完成させると
極楽浄土にいけるという言い伝えもあるので、
お金を支払ってでも集めるのでしょう。

よく考えられたビジネスモデルだと思います。
神社仏閣の権威や、ご利益に加えて人間の収集欲から
こぞって御朱印帳の完成を目指すようになります。
それぞれの神社仏閣のまわりのお店も潤うことになります。

御朱印帳のビジネスモデルを知財の視点で考察すると

御朱印帳のビジネスモデルを当時、
その場にいたとして知財の視点で考察すると、いろいろ思いつきますね。

ビジネスモデルというとビジネスモデル特許という言葉が頭をよぎりますが、
実は、ビジネスモデルそのものは特許になりません。
御朱印帳のビジネスモデルでは、少し工夫をすれば、
何かしらの特許は取れそうですが、
事業にクリティカルに貢献する特許(わかりやすい特許)を取るのは難しそうです。

一方で、商標は、いろいろ考えられます。
まずは、「西国三十三ヶ所」などの、御朱印を集めて回るルートですね。
ルートがそのまま御朱印帳集めのブランドになると思います。

御朱印帳で商標登録するなら

御朱印帳にルート名をいれることで、他のルートの御朱印帳との差別化が図れます。
これにより、御朱印帳を発行できる機関を制限(制御)できるようになります。

次に、御朱印、御朱印帳でも商標登録したいところです。
「御朱印」、「御朱印帳」という言葉ではなく、
御朱印の陰影や、御朱印帳の表紙で登録するイメージです。

商標は、言葉だけでなく、図形、記号も登録できます。
(商標法第2条 ※最近は色彩とか、音とかも商標登録できます)

御朱印の陰影を登録するのは、現代ではロゴマークを登録するようなイメージです。
御朱印の陰影を登録することで、御朱印の権威が増します。
他に同じ御朱印を押せるところがなくなるからです。

御朱印を登録することで、
神社仏閣が御朱印帳のビジネスモデルに参加しやすくなります。
さらに、御朱印帳を商標登録するというのは、ページに含まれるマス目の配置や、
横に係れるかもしれない絵をまとめて1つの看板として登録するようなイメージです。

そのページをみれば、
「西国三十三ヶ所」の御朱印帳だとわかるような構成にして
商標登録をします。御朱印帳を差別化した方が、
御朱印帳集めのありがたみが増しますので、
御朱印を集める人の収集欲をあおります。

御朱印帳は攻めの商標

上記の商標の使用はビジネスモデルの価値を高める攻めの商標です。
商標の1つ1つの効力は小さいかもしれませんが、
複数の商標登録が集まることで、全体としてビジネスモデルの価値が向上します。

守りの視点で商標登録することも考えられますが、
御朱印帳のように(当時は)革新的なビジネスモデルであれば、
守りは後で考えればよいので、
ビジネスモデルの価値を高める攻めの商標こそが有効な気がします。

まとめ

御朱印帳のビジネスモデルは秀逸。
攻めの商標を使えばビジネスモデルの価値高まる。
商標は名前だけでなく、図形なども。攻めの商標は1件だけでなく複数で効果倍増。