こんにちは。大賀信幸です。すべては観察から始まる。
知財の中で商標を解説します。ビジネスに応用できればと日々考えています。今回は新潟県です。
知財 商標 マーケティング ブランディング 名産品 新潟県
新潟県と言えば田中角栄です。強烈でした。政敵の石原慎太郎が2016年1月に幻冬舎から出した天才に田中角栄のことを一人称で小説にしています。小説というよりもノンフィクションです。なかなか読み応えがあり良書だと思います。是非。
新潟県の名産品を調べてみました。今回は新潟県のお土産です。
- 位 浪花屋 柿の種
- 位 田中屋本店 笹団子
- 位 長命堂 飴もなか
1位 浪花屋 柿の種
新潟県は米の産地です。米菓子のルーツらしいです。柿の種は90年の歴史があるそうです。
2位 田中屋本店 笹団子
笹団子は餡の入ったよもぎ団子を複数の笹の葉で包んでいる団子です。
3位 長命堂 飴もなか
大正元年創業とのこと。創業者が2年の歳月を費やして出来たお菓子と言われています。もなかの中に水飴が入っている和菓子です。
で、どうなるの
今回は、商品名はどうやら普通名詞的で商標になりにくい感じがします。この理由からか、商品名に○○の笹団子とかの表記になっています。これは商品名では他と差異が表現できないので製造元か販売元の名前を接頭語にしているのでしょう。とするなら、この製造元か販売元の名称を商標登録していなければなりません。
次に商標を調べてみます。
浪花屋
- 浪花屋 商標出願なし 商標登録なし
- 浪花屋製菓株式会社 商標出願1953年 商標登録1953年
- 元祖浪花屋 商標出願1979年 商標登録1979年
- 柿の種 商標出願1996年 商標登録1997年
- 元祖柿の種 商標出願1997年 商標登録1999年
浪花屋さんは完璧に会社名と屋号の商標を押さえています。商品名の柿の種も商標登録されています。ただ、浪花屋では商標登録されていません。ここ残念に思います。
田中屋本店
- 田中屋本店 商標出願なし 商標登録なし
- 田中屋 商標出願なし 商標登録なし
- 笹団子 商標出願なし 商標登録なし
田中屋本店は商標登録されていません。田中屋だけでも商標登録されていません。商品名の笹団子も商標登録されていません。せっかくブランディング出来ているのに残念な感じです。
長寿堂
- 長命堂 商標出願なし 商標登録なし
- 飴もなか 商標出願1939年 商標登録1940年
長寿堂では商標登録されていません。商品名の飴もなかは商標登録されていました。
で、どうしたの
1位の浪花屋さんは何だか残念に思いました。なぜならブランディングするのに浪花屋製菓株式とまでは皆言わないし聞かないと思うのです。通称で、浪花屋の柿の種と呼ばれていると思うのです。また、元祖浪花屋の柿の種とも表現しないと思います。
残念に思うのは、肝心の浪花屋で商標登録されていないことです。もしこのブログを読まれていたらすぐに商標出願すべきです。非常に危なく感じました。
2位の田中屋本店は相当危ない感じです。商品名の笹団子は普通名詞化している可能性があるので今から商標登録は無理でしょう。これは仕方がないとして、会社名や屋号だけでも商標登録すべきです。田中屋の笹団子と皆に呼ばれていそうです。とするなら、田中屋で商標登録するか。田中屋の笹団子で商標登録すべきでしょう。
または、田中屋本店で商標登録も同時にしておくべきです。そして田中屋本店の笹団子も商標を意識すべきだと思います。もし第三者がこれらの商標を登録すれば、田中屋さんは相当不利益を与えられることになるように思います。ここが危ない処です。
3位の長寿堂は商標登録されていません。商品名の飴もなかは商標登録されていました。世間では長寿堂のもなかとか言われてそうです。早急に長寿堂でも商標登録するようにしてほしいです。
で、どうするの
商標登録の目的は、ビジネスで他との差異をつけるためにするのです。扱う商品の商品名が普通名詞的では商標登録出来ない可能性があります。
その場合は、その商品を製造している会社か、屋号またはその商品を販売している会社かまたは屋号で商標登録するべきです。結果、○○の△△と呼ばれるようになれば締めたものです。世間に認知されて尚且他の商品との差異を認められた訳ですから。
まとめ
扱う商品の商品名が限りなく普通名詞的な名前の場合、商標登録されない可能性があります。その場合はその商品を扱っている会社や屋号で商標登録をすべきです。
一般消費者対象の商品を扱う会社の場合、会社設立時に会社名や屋号で商標出願するのが最善手だと思います。次に扱う商品名や通称名で商標出願するのが必須です。
今回も新潟県での特産品や名産品を調べましたが、非常に危ない感じがする会社がありました。何十年の実績や努力やブランディングが台無しになる可能性があります。商標出願はすぐに出来ます。特許庁の費用も数万円です。もし会社名や商品名で商標登録されていないのなら、今すぐに出願することをお薦めします。
内部リンク 全国47都道府県名産品