ドメインと商標【ドメイン取るなら商標登録も】

知財で事業を創る

知財事業研究所の山本英彦(弁理士)です。

【最近はドメイン名を商品名にしている。ドメイン名を会社名にしている事例があります。どうしたものか。】を受けて。

ドメイン取得はお早めに

事業を起こすとき、今の世の中では、
ドメインの取得はかなり早い段階で行われると思います。
取得したいドメインが残っているか、お名前comとか、ムームードメインとか、
ドメインを取得するサイトで簡単に調査することができます。
そして、気に入ったドメインが残っていたら、直ぐにドメインを取得されると思います。
ドメイン取得って早い者勝ちですから。

ドメイン取得の時には商標調査も

ちょっと待ってください。ドメイン取得する前に商標調査をしてください。
商標出願しなくてもいいから、商標調査だけでも。
J-PlatPat(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)というサイトに行けば
簡単に調査できます。しかも無料です。

なぜ商標調査をしないといけないのか?

こんな事件(判例)があったからです。
関西の人ならよくご存じの「堂島ロール」。
提供しているのは株式会社Mon cher(以下では、「モンシェール」ともいいます。)
このモンシェールの社名、以前は、モンシュシュだったってご存知ですか?
社名変更の理由は商標侵害訴訟。
すなわち、モンシェールは商標権侵害の裁判で負けてしまい、
社名を変更せざる得なくなったのです。この事件については別のブログでも
詳細に解説しますが、この裁判で争われた中身のひとつにドメインがありました。

ドメインが商標侵害!

裁判を起こしたのはゴンチャロフ製菓という別のお菓子屋さん。
「MONCHOUCHOU」と「モンシュシュ」を2段で横書きにした商標を
「菓子、パン」を指定商標として登録していました。
(この部分、ややこしければ、別のお菓子屋さんが、
登録商標「MONCHOUCHOU」を持っていた、と読み替えてください。)

そして、裁判では、モンシェール(旧モンシュシュ)が使用しているドメイン
「mon-chouchou.com」が登録商標「MONCHOUCHOU」を侵害する
と判決されたのです。

「mon-chouchou.com」と「MONCHOUCHOU」は厳密には一致しません。
(同一ではありません)
しかし、商標登録は類似の範囲まで効力が及びます。

「mon-chouchou.com」と「MONCHOUCHOU」は類似すると判断されたのです。
強引にいえば、「.com」の部分は無視されたとも言えます。
ドメインの使用が商標権の侵害の可能性を持つということです。

結構怖い商標登録

このことからわかるように、商標調査をせずに、ドメインを取って使用していると、
ドメイン名のうち「.com」や「.jp」の前の部分を商標登録している人から
訴えられる可能性があるということです。
ドメインって使っていくほど価値が高まります。
長期間使用して価値が高まったドメインが差止(もう使えない)や
損害賠償を受けるなんて事業をする上では致命傷になりかねません。

さらに、怖いことに、商標登録は後出しが可能です。
どういうことかというと、ドメインを取得した後であっても
他人が商標登録をすることができてしまいます。
すなわち、ドメインを使用しながら事業が大きくなったのをみて、
誰かが裁判や警告を目的にして、あなたのドメインを他人が商標登録できてしまうのです。
これを防止する方法としては、できるだけ早いうちに商標登録をしておくことです。

繰り返しますが、ドメインの差止は事業を行う上で致命傷になります。
インターネットが発達した現代ではドメインの変更は
WEB 上での事業を0から始めることとイコールだからです。
ドメインの取得は、1件、数百円~数千円ですが、商標登録は数万円~十数万円です。
それでも、事業を行うなら、
ドメイン名の商標調査と商標登録はしておいた方がよいと思います。

まとめ

ドメイン取るなら商標調査は必須。できれば商標登録はしておく。