知財 商標 マーケティング ブランディング 【和歌山県】

こんにちは。大賀信幸です。すべては観察から始まる。

知財の中で商標を解説します。ビジネスに応用できればと日々考えています。今回は和歌山県です。

知財 商標 マーケティング ブランディング 名産品 和歌山県

大阪と和歌山県とは隣同士です。大阪の道を海沿いに南下すると和歌山県に入ります。大阪から真下に南下すると和歌山県の山の中に入ります。

有名な処が高野山です。空海が禅の道場としたとされています。高野山全体が寺の敷地です。僕ら大阪住みが高野山に行くというのは、高野山にある金剛峯寺に参拝する事と同じ意味になります。

実際に高野山を車で登るとよくこんなに山深い処に1000年以上前に塔堂を建立したものだと感心します。

高野山奥の院では、歴史上の有名な人のお墓があります。

例えば、

  • 織田家
  • 豊臣家
  • 徳川家
  • 明智光秀
  • 石田三成
  • 伊達政宗
  • 武田信玄勝
  • 上杉謙信

財界のお墓もあります。

例えば、

  • 上島珈琲
  • ヤクルト
  • 福助
  • 松下電器産業
  • 名村造船所

今どき、他人のお墓参りもなんですが、奥の院をぶらぶら散歩するだけで歴史上の人物に触れる感覚になりますよ。仕事目線になるのなら、意外に身近な企業のお墓もあります。

どういう訳か企業のお墓には名刺入れが付いている処もあります。お墓におそらく自身の名刺を入れて来るのでしょうね。お参りしましたとの報告かもしれません。

和歌山県といえば白浜町の白良浜です。真っ白な砂と真っ青な海。熱帯魚が泳いでいます。関西でこんなに美しい海があるとは思いませんでした。南紀というだけあって毎年5月の連休には海開きがあります。

和歌山県の地域団体商標を記載します。この白浜も南紀白浜温泉として地域団体商標にあります。

で、どうなるの

全部で16件ありました。

和歌山/野菜

  • 紀州うすい(きしゅううすい)商標登録第5005548号

和歌山/果実

  • 有田みかん(ありだみかん)商標登録第5002567号
  • 紀州みなべの南高梅(きしゅうみなべのなんこううめ)商標登録第5003836号
  • しもつみかん(しもつみかん)商標登録第5004822号

和歌山/水産食品

  • すさみケンケン鰹(すさみけんけんかつお)商標登録第5010147号
  • 紀州勝浦産生まぐろ(きしゅうかつうらさんなままぐろ)商標登録第5454189号
  • 紀州ひろめ(きしゅうひろめ)商標登録第5718923号

和歌山/加工食品

  • 紀州みなべの南高梅(きしゅうみなべのなんこううめ)商標登録第5003836号
  • 紀州梅干(きしゅううめぼし)商標登録第5086808号

和歌山/麺類・穀物

  • 和歌山ラーメン(わかやまらーめん)商標登録第5004520号

和歌山/織物・被服・布製品・履物

  • 高野口パイル(こうやぐちぱいる)商標登録第6374761号

和歌山/工芸品・かばん・器・雑貨

  • 紀州備長炭(きしゅうびんちょうたん)商標登録第5003837号

和歌山/仏壇・仏具・葬祭用具・家具

  • 紀州箪笥(きしゅうたんす)商標登録第5061738号

和歌山/木材・石材・炭

  • 紀州備長炭(きしゅうびんちょうたん)商標登録第5003837号
  • 龍神材(りゅうじんざい)商標登録第5368352号

和歌山/温泉

  • 南紀白浜温泉(なんきしらはまおんせん)商標登録第5096599号

で、どうしたの

地域団体商標の定義としては、

地域団体商標=地域名+商品名となります。

ここで、何だか残念な感じがするのです。なぜなら、例えば備長炭です。和歌山県出身の備長さんが和歌山県で獲れたうばめがしを材料に炭をつくり、販売しました。備長炭と命名しました。

しかし、備長炭には地域名がないので地域団体商標のルールには則れなくて、地域団体商標としては認められないのです。

なおかつ、ビンチョウタンで商標を調べてみると炭とは違う区分で東京の会社が商標登録されていました。おそらく、本来の備長炭の区分では備長炭は普通名詞化しているので商標登録はできないのでしょう。

結論としましては、和歌山県の地域団体商標では、紀州備長炭として商標登録されています。普通に備長炭といえば国産で、高級な火力の強い炭とは誰もが思います。しかし、商標登録されているのは紀州備長炭です。呼び名と商標が乖離している処が残念に思います。

他には、南紀白浜温泉という地域団体商標があります。これも、なんだか残念に思えます。意識して南紀白浜としているのなら良いのですが、白浜温泉だけの方が商標としての効力は高いと思うのです。

南紀白浜温泉を地域団体商標とするなら、白浜温泉は僕でも使えますからね。これなら、白浜温泉と南紀白浜温泉の2つを地域団体商標としておくべきでしょうか。

または、白浜温泉は普通名詞化されているので地域団体商標登録にならなかったかもしれません。この普通名詞と地域団体商標との境目の基準が特許庁の外部からでは分かりません。

で、どうするの

こればかりは、出願してみなくては分からないのが正解のように思います。もう少し突っ込むと特許庁の審査官が認めるか否かです。

まとめ

地域団体商標はその商品の呼び名と地域団体商標とが乖離している印象があるものもあります。難しい処です。あくまで地域団体商標は商標登録をするのが目的ではなく、地域団体商標でブランディングしてその商品の販売促進することですからね。